Allow!レイモンです。さてさて、前回の続き。下の絵は、オペラ「ヴォツェック」の舞台の様子。この作品は、1835年に書かれたゲオルグ・ビューヒナーの未完の戯曲「ヴォイツェック」をもとに、アルバン・ベルクが作曲、エーリヒ・クライバー(フルトヴェングラーのライバルの一人)によって1925年に初演された作品。
この舞台は傾斜がついているよね。ベッドとテーブルがちらほらしてるけど、実はもう始まっているんです! 開演前から男の子(ヴォツエックの息子!)が椅子に座ってスタンバイしてるんだ。元兵士で今はうだつの上がらない床屋のヴォツェックが、愛人・マリーを殺した事件が題材になっており、お金のために人体実験のモルモットになってる貧しいヴォツェックが、床屋の客である元上官と通じたマリーを殺すという凄惨な物語。新ウィーン派の旗手としてシェーンベルクらと共に活躍していたベルクは、ヴァーグナー、R・シュトラウス、あるいはマーラーといった後期ロマン派の音楽から脱却していく途上だったんだ。その不協和の連続が、それまでのメロディアスなオペラの流れとは全く異なっていたため、初演当時は不評でした(笑)。ヴォツェックを演じるのは、イギリスの新進気鋭のバリトン、サイモン・キーリンサイド。マリーを演じるのは、MET、バイロイト、ミラノ・スカラ座、パリ・バスティーユ座で大活躍しているドラマティック・ソプラノのカリタ・マッティラ。指揮はサー・マーク・エルダー。彼は、オックスフォードで楽理、ロンドン王立音楽院で指揮を学んだイングランドを代表する指揮者で、現在はマンチェスターに本拠を置くハレ管弦楽団の首席指揮者。演出は1930年代に設定してある。当時の時代のモチーフが随所に見られて面白い。テーマの根幹を流れているのは、第一次大戦で「父」を失ったヨーロッパの荒廃と、「母」の不在。このテーマは、ナチスを逃れてロンドンに亡命したフロイトをイギリス人がどのように解釈したかがポイントだといえる。ある意味とてもオーソドックスな「イギリス的な」演出といえるし、これをさも古典的なオペラ・レパートリーにしているところがまたすごい!
オペラが終わると、これまた外は寒くて・・・。運転手がお出迎え(ホントに待ってる)ならいいんだけど・・・さむい―!!
本山四谷通りアルファランドビル
レイモン・アルファ